20年前に制作したMIDI音源をベースに、Sunoを使って現代風にアレンジした楽曲『moment』です。
MIDIの原曲はこちら↓。ここから一度インスト(ピアノ・トリオ)のアレンジを経て、現在の形に至りました。もはや原形を留めていないように感じるかもしれませんが、最初のAメロ(原曲の0:34〜)なんかは結構そのままだったりします。
以下は、この曲の歌詞をAI(Gemini)との対話を通して作っていったプロセスです。
もともと自分には歌詞を書くなんて無理だと思っていました。 ですが、実際にやってみると「AIに丸投げして作ってもらう」というより、「AIとのやりとりを通じて、自分が歌詞にしたかった言葉(=歌として聴きたかった言葉)を少しずつ引き出していく」という作業でした。
1. 最初の入り口と素材の投入
最初はサウンドのイメージと「過去の自分の文章」をそのままAIに渡すところからスタートしました。
【プロンプト】
新しい曲の歌詞のヒントが欲しい ジャズ系のかっこいいバックトラックに乗せて歌うやつ
過去のブログのテキストをベースに
バンドで音を合わせる時間の高揚感を曲にしたい
ゼロからAIに考えてもらうとやっぱり思ったものは出てきません。過去のブログのテキストや「バンドで音を合わせる時間の高揚感」といった原体験を素材として読み込ませています。
2. 遠慮のないNG出しと「制約」の追加
AIが出してきた案に対し、違和感があれば容赦なくNGを出します。あわせて、安易な言葉に逃げないためのルール(制約)を設定しました。
【プロンプト】
ちょっと、ダサい。。違うパターンで作ってみて
「私」という言葉は使わないほうがいいかな。なんとなく。
人生みたいな仰々しい言葉も入れないほうがいい
「私」という主語や「人生」といった大袈裟な言葉をあらかじめ禁止ワードに設定することで、AIがテンプレ的な歌詞に逃げるのを防いでいます。
3. ニュアンスの調整と要素の深化
続いて、サビに向けた感情の方向性を伝えつつ、表現の深みを加えるための指示を出していきます。
【プロンプト】
その瞬間の高揚に対する賛美を入れて欲しい (「私たちはなんて素晴らしいものを手にしたんだろう」という)
少し良くなった。あとは音楽のビートだけじゃなくて美しさも触れて欲しい。アルペジオや和音が連続して連なることで今この瞬間が輝くことと、その瞬間の連続性、これはまさに人生だと思う
もっといい言葉があるはず
もっと実感を伴う言葉にしてほしい
「この」が続くのは避けてほしい
単に「人生」という直接的な単語を使うのではなく、「アルペジオや和音の連続性」「今この瞬間の輝き」といった音楽的な描写を通して概念を表現するよう、指示を調整していきました。
あわせて「もっと実感を伴う言葉があるはず」「『この』の連続は避けてほしい」と具体的にフィードバックを返すことで、AI特有の理屈っぽい表現や単調な語尾の重複が削ぎ落とされていきました。
4. 2番の展開:五感とリアリティの深掘り
実はこの曲、1番の歌詞ができた段階で一度は満足し、YouTubeに公開していました。ですが、あとから「やっぱり続きが作りたい」と思い直し、改めて2番の歌詞づくりをスタートさせました。
1番までの動画はこちら↓。sunoで出力した10秒の動画から切り貼りして作成しました。最初はこれで十分満足してました。
1番が「音やロジック」を描いていたのに対し、2番ではより生々しい身体感覚や五感(視覚・嗅覚・触覚)を落とし込むために、具体的にイメージを投げかけていきました。
【プロンプト】
この曲の2番を作りたいんだけど、たたきを考えて
季節が過ぎていくことさえ知らずに暮らしていた。
2番は音楽から離れた知覚のリアルを表して欲しい。匂い、眼に映る鮮やかな夕焼け、肌に触れた冷たさ
「言葉を知らなかった◯◯が」でどう? ◯◯は考えて
5.まとめ
振り返ってみると、AI作詞でやったことは以下の4つでした。
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過去のブログなど、自分の言葉や原体験を素材として渡す
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「ダサい」「違う」と思った提案にははっきりNGを出す
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「私」「人生」など、安易に使われがちな言葉を禁止する
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「もっとしっくりくる言葉があるはず」と納得いくまで引き直す
AIに勝手に書いてもらったというよりは、対話を重ねる中で「あ、自分はこういう歌が聴きたかったんだな」と気づかされ、それを少しずつ削り出していった感覚に近いです。(自分で歌うのではないので、「歌いたい」というよりは「聴きたい」です。ここはシンガーソングライターの人とは違うところだと思います。)
20年前の音源、過去のブログ、そしてAIとのやりとり。それらが重なって最終的にこの形になりました。
作詞のやり方やAIとの付き合い方のひとつの例として、何か参考になれば幸いです(^^)/。